ヘルメット

一日に2回ヘルメットを盗まれた人間の気持ちがわかりますか?
あれは、ショックだよ。
昼ごろ起きて、金がないからテレビゲームでも売るべえと思って部屋を出ると、
マンションの前に停めておいた原付のカゴからヘルメットが姿を消していた。
ショック。
なぜ、あんな安物のメットを盗みたくなる?
しかも、基本不潔な僕のメットをだよ。
仕方ないから、ノーヘルでコーナンに行ったんだよ。
で、盗まれたのと同じ一番安いメットを購入。
さらに金欠になっちまったんで急いでゲームを売りに行く。
でなんと、あら奥さんびっくり。
1000円で買ったF1のゲームが3000円で売れたんですよ。
神は見捨てないね。
盗む神あれば高価買取する神ありとはよく言ったもんだよ。
もう、テンションあがっちゃって軽くパニックよ。
店の気が変わらないうちになんて思って、いそいそと店を出ようとしちゃってさ。
帽子なんかをかなり目深にかぶっちゃったりしてさ。
で、店を出たら原付のカゴに入れてたメット盗まれてたんだよ。
なんじゃそれ。
わしのゲームを売った金は二つのメット代でパーだよ。
メット買うためにゲーム売ったわけじゃないんだよ。
思いのほか高く売れてラッキーだと思ってた自分が恥ずかしいよ。
ひとつもラッキーじゃねえ。
1時間もしない間に同じメット二個買って行った男をコーナンの店員は覚えてるだろうか。
覚えていて閉店後おもしろ話として盛り上がってくれたら、まだいくらか救われるんだけど、多分覚えちゃいないだろうな。
「今日、メット良く売れますねえ。」なんていう素っ頓狂な会話が関の山だよ。
しかし、コーナンの店員よ。
あんたの店暗すぎるぞ。
通りに面したところは駐車場になってるから、店舗の明かりが通りから見えない。
しかも、看板はライトアップされていない。
おまけに、隣のビルがなぜだかクリスマスツリーを模した電飾をビル中に張り巡らせている。
どっちが店か見間違えるもの。
遠くからクリスマスツリー電飾を目指して行ったら、いきなり暗闇にうっすらコーナンの看板。
クリスマスツリーの建物にはなんとか株式会社という看板。
なんとかしようよ。
で、なんの話だっけ?
あー、メットね。
メット盗むやつが悪い。
何度盗まれても、メットインじゃなくてカゴにいれちゃうあんたも悪いなんて話はよしてくれ。
僕は、少々ナイーブなんだ。