トリプルショック

ショック。
秘密基地感覚になっていた電気屋がつぶれてしまった。
あの秘密基地は、そんじゃそこらの秘密基地とはわけが違った。
隠れ家的なバーとは、秘密基地のレベルが違う。
なんたって、揃ってる物がすごい。
オーディオ、家電製品、パソコン、周辺機器からマッサージチェア、しかも最新機器が目白押し。
しかも、テレビゲームもCDだってあるんだから。
ここはそんじゃそこらじゃ落とせないよ。
食べ物さえ揃えれば兵糧攻めにも耐えられる。
まさに難攻不落の一大要塞。
のはずだった。
しかし、あっさりつぶれた。
三日と空かずに通いつめた僕に何の説明もなく。
マッサージチェアで体をほぐし、中古CDの品揃えをチェックする。
子供に混じって体験版ゲームに熱くなる。
新製品のチャックに大売出し時の値段のチェック。
こんなふうに接することができる電気屋とは、二度と会えないだろう。
ショック。
船乗りが使う“ヨーソロ”は、外国語じゃなかった。
まさかそんなことがあろうとは。
背広ですら外来語だというのに、ヨーソロが日本語だとは。
しかも、“宜しく候”の略だったとは。
宜しく候ってなんだ。
半分は外来語みたいなもんだな。
ショック。
女子中学生がこんな話をしていた。
「私、アボガド好きなんだ。」
「えー、私アボガド苦手。」
「ウソー。あの食感好き。」
わしゃアボガドなんて食った事ないぞ。
いや、居酒屋だとかなんかで一度口にしたことがあった気もする。
しかし、少なくとも中学生の頃、我が家の食卓にアボガドが出てきたことなんてなかった。
今の若い子は、食いものが違うんだよ。
勘弁してくれ。
わしゃモロヘイヤより以降の新野菜には付いていけていないんだ。
エリンギですら受け入れられていないもの。
年の差夫婦は、食生活も大変そうだわ。
一日で三回もショックを受けましたって話でした。
しまった。
三日に分ければよかった。