破壊王 橋本真也

橋本真也が死んだ。
まさか。
どうしても、信じられない。
闘魂三銃士も、もう若くないとは思っていたけど、
長州だって藤波だって天龍だってまだ生きているのに。
生きているどころか、元気にリングに立ってるんだよ。
坂口だって生きているのに。
猪木だって、頭はずいぶんもうろくしたけどまだ二本足で歩いている。
なのに、橋本が死ぬなんて。
どうしても、信じられない。

橋本が死んだってことで、情報通を自任したい奴は冬樹の嫁との不倫のことでも、訳知り顔で書くことだろう。
通のファンを気取る奴は、小川との一連の抗争なんかを思い出すんだろう。
ベテランファンを名乗りたい奴は、トニー・ホームとの異種格闘技時代のとんがった橋本を思い出すのだろうか。
90年代新日黄金期を愛する奴なら、闘魂を伝承した頃の泣き顔風怒り顔でも思い出してくれ。

好きにしてくれ。
僕は、どれを思い出す余裕もない。

橋本真也は嫌いなレスラーだった。
あの重い打撃に垂直に落とすDDT
その圧倒的強さのイメージがどうしても好きになれなかった。
僕の応援する選手を次から次へと倒していく橋本が憎たらしかった。

だからこそ、死んだ事が信じられない。

これから橋本追悼と題した興行やグッズ、イベントで金を稼ごうとする人たちが出てくるだろう。
人の死で金を稼ぐ。
存分に稼いでくれ。
一時代を築いたレスラーが死んだんだ。
それを金に替えれないで、何がプロレスだ。
もう、涙も出ないくらいに橋本の死を食い散らかして欲しい。

それでこそプロレスだ。
美談にだけはしないでくれ。