太陽の季節

ヨットは西から吹き付ける風を受け、海面をすべるようにして沖に向かっていく。
デッキに脱ぎ捨てられたTシャツはすっかり乾いて、海水の塩分を浮かび上がらせている。
良く焼けた褐色の肌を露わにしたままセイルを操る。
夏の太陽が、十分に発達した筋肉の陰影を強めた。
どこまでも続くこの海の彼方に、まだ見ぬ景色があるのだろうか。
舶来製のタバコに火をつけ、抜けるような青空に煙を吐き出した。

ってまさか僕の休日じゃないですよ。
何がいいたいかっていうと、こういう太陽の季節以来続く、ピカレスクな若者の休日が近いうちに見れなくなるかも知れないんだよ。

そう。タバコが危ないんだ。

今日、ふとタバコのパッケージを目にした。
タバコ吸わないからほとんど見かけないんだけど、久しぶりに見たら、あのパッケージはどうなの。
あれは、もう毒物だよ。
デザインなんてぬるいものを完全無視して、パッケージの半分使ってタバコの毒を訴えているんだもの。
表面には、ニコチンの依存性を。
裏面には、はっきりと脳梗塞になる確率が著しく高くなると書いてある。

どうしてタバコばっかり、こうもいじめられるかね。
タバコをここまでいじめるなら、他のものもいじめろよ。

飛行機の翼にでかでかと『長期に渡るご利用は、皮膚ガンになる確率を高めます』って書きなよ。
自転車のサドルに『長時間のサイクリングは、男性機能が低下する恐れがあります』って書いていこうよ。

それでこそ、リベラルな太陽族を満足させられる。

でなんで、今更太陽族なんだろう。
明日は、カミナリ族か。