アルバイト

生活費の困窮のため久しぶりアルバイトに行くことにした。
思えば、この真人間的発想が悲劇の始まりとなるのだった。
だいたいが、5時起き6時発7時集合って、殺す気か。
牛乳配達の好青年じゃあるまいし、そんな時間に起きれるかい。
でも仕方ない。生活費をかせがにゃいかんのだから。
今回の現場は、医大病院。
お仕事は、患者ベッドのマット交換。
いやー、気が滅入る。
車椅子、点滴の雨あられ
管が駆け巡り、特有の匂いが充満している。
怖い。
病院怖い。
あー、末路だよ。
この空気たまんない。
しかも、しかもだよ。
仕事のメンバーが、これまたたまらん。
うん、面白くないんだよこの人。
でもガンガンボケてくるんだよ。
あー、嫌だ。クラスの人気者タイプ。
「京都出身ってことは、毎日晩御飯はおたべ?」
「いやいや、それはないですよ。」
なんじゃこの絡み。
100パーセントどうでもいいツッコミしちゃってるよ僕。
だいたいこんなボケをなぜ言いたくなるんだ?
しかも、おもしろいこと言ったって顔しながら言うなよ。
「タカツ君は普段何してるの?メジャーリーガー?」
「いやいや、それは違うタカツですから。」
なぜそんなボケを言う。
わからんのか?僕のツッコミが完全に上辺だってことが。
だから、おもしろいでしょって顔をするな。
あー、つらいわ。
しかも、この男こんなボケをずっと言ってんだよ。
しかも、どう考えても年下なんだよ。
「今日はタカツ君には給料なしって言ってたぞ。ウソだけどね。」
「いやいや、勘弁してくださいよ。」
勘弁してくれよ。
金を稼ぐってのはつらいねえ。
唯一の救いが、看護婦がかわいかったのと、実質1時間で仕事が終わったっことくらいだよ。
あー、疲れた。
あーはなりたくないなあ。
病人にも、つまんないボケし続ける奴にも。
えっ?何?君最寄り駅いっしょなの?
勘弁してくれよ。
あー、前を歩くサラリーマンにカンチョーするフリしてるよ。
相変わらず、面白いだろって顔してるし。
もう、どうにでもしてくれ。