運動会

今日も僕は、風になるために50CCの危険なあいつに乗って、
街をふらついていた。
空気の壁を感じるために赤味葡萄色カゴ付き原付のスピードをあげた。
そのとき、街角の中学校の校庭から声援が聞こえてきた。
おっ、運動会やってるよ。
平日なのにやるんだね。
いやー、若々しい。
懐かしいねえ。
運動会のヒーローだったころを思い出しちゃう。
でも運動会って良く考えると、トホホだね。
9月ってまだ暑いんだよ。
それなのに、炎天下日陰もないグランドでさ。
自分の出場する種目の2種目前には、入場門付近で待機するとか
入退場は駆け足だとか無意味に面倒臭いしさあ。
雨降ってきても、強引に消化しようとするしさあ。
得点経過がわかりづらくて、知らない間に優勝しちゃってたりさ。
なんか、完成度低いわな。
教師も生徒も運動会って行事をこなすみたいな感じだもん。
あと、応援合戦だっておかしいもん。
自分のチームの応援を自分のチームのメンバー全員でするって。
自分を鼓舞するみたいで悲しくなるわ。
「絶対優勝するぞ!!」なんて自分に言い聞かせてどうすんだよ。
しかも、替え歌でさ。
今考えたらそうなんだけど、あの頃は夢中でやってたなあ。
あー、なんか本当に懐かしいわ。
僕は、涙を流す替わりに、最近すっかり不快な排気ガスを出す
原付のアクセルをめいいっぱいまわした。