ギャンブル

最近、自分には博才がないことに気が付き始めた。
予想は当たるが、馬券の当たらない競馬。
早当たりはするが、連荘しないパチンコ。
完全に博才がない。
人類の最大の娯楽に好まれていないというのを認めざるを得んよ。
そういうわけで、今日はギャンブルの話。
僕がまだ子供だった頃、8月のお盆に親戚一同、祖父母の家に集まっていた。
昔話やローンのことなどについて楽しくしゃべりあう女衆に比べ、男衆は暇を持て余していた。
そして、暇つぶしに土いじりなんかしてみるけど、夏の日差しにすっかりやられてしまう。
そうなると、男衆はパチンコに出かけた。
男衆がパチンコに行くと、僕達子供はよろこんだ。
戦利品のお菓子が楽しみだったんだ。
そして数時間、戦利品を持ち帰るのはいつも親戚のおじさんだった。
うちの親父は一度も戦利品を持ち帰らなかった。
歓迎される親戚のおじさん。
「運の悪いやっちゃ。」と小バカにされる親父。
それが、夏の1ページだった。
それから何年か経つと、子供たちも大きくなり各家庭いろんな事情が出てきて、
祖父母の家に滞在する期間が短くなっていった。
そして、男衆はパチンコに行かなくなった。
夏のページは想い出のページになっていった。
それから、さらに何年かたったある日。
僕がパチンコを覚えたある日、父とあの頃の話をした。
「いやー本当に、一回もお菓子持って帰らなかったもんね。」
って言った僕に、父はあっさりと言った。
「あー、あれな。あれは、父ちゃんはお菓子じゃなくて現金にしてたんや。自分の小遣いにしてたんや。」
我が父は偉大だよ。
愚鈍と言われようが凡庸と思われようが、私欲を肥やそうとした父。
偉大です。