去り逝く君へ

我が家のプリンターが壊れた。
物はいつか壊れる。
それに100年間壊れなかった物は、妖怪になるって水木しげるが言っていた。
だから、壊れた事には何も言わないよ。
でも、壊れ方ってものがあるだろう。
プリントアウトすると、プリンターはしっかり動くんだよ。
インク部分も右に左に動きまわっているんだよ。
何だったら、プリンター自体が振動するくらいの元気さだ。
なのに、出てきた紙はなぜか白紙。
何回やってもなぜか白紙。
なんだ。インクの反復運動は伊達か。
白紙の紙を吐き出すのに、なぜそんな大作業がいる。
君はあれか。
メガネにさわやか髪形だけど勉強が出来ない中学生か。
1学期の中間テストで馬脚を現すあのタイプか。
テスト前に決めるから、学級委員なんかに選ばれちゃうあのタイプか。
つまり、見た目だけで中身はトホホだってことだ。
プリンターのバカやろう。
俺を置いて勝手に壊れやがって。
おまえの最後の仕事は、梅田の焼肉屋情報をプリントアウトしたのだったな。
あの仕事もな。なんだか、うまいこと言いくるめられて焼肉連れてってもらえなかったぞ。
まあ、しばらくゆっくりしろや。
時機に家電リサイクル法で弔ってやる。