一人旅なんて来るんじゃなかった

ことの発端は、自称他称お笑いライターからのメールだった。
いつのまにやら国民行事になっていた日本代表の試合を観るでもなしに眺めていた。
バーレーンって小さい国なんだな。なんて関係ないことばかりが気になっていた。
そんな時、携帯電話が怪し気な音を立てて震えた。
深夜に最も望まざる人物からのメール。
日本代表大喜利メール。
立て続けに4問。
今時分日本代表ネタのハードルはかなり高い。
ぼやける脳みそで、何とか答えをひねり出す。
結果、3問の正解をいただいた。
さすがオレ。さすが、問題のハードルが高いわりに答えのハードルの低い採点者。
それにしても、4分3とはなかなかの好成績。
これは何か、祝いごとをしなければ。
ということで、一人旅に出ることにした。

しかし、一人旅をする金も根性もない。
じゃあ、どうするか。
頭の中で一人旅に出よう。
行き先は、金沢あたりがよろしかろう。
金沢への一人旅イン・マイ・ヘッドをはじめよう。

といっても金沢のことなんか何も知らない。
小京都だから京都っぽいんだろうと勝手な想像をして、ひらめいた。
京都に行けばいいんだ。
まさに逆転の発想。
というわけで、JR特急はくたかに乗らず京都で下車した。

京都で下車したはいいけど、朝早く街はまだ眠りについている。
仕方ない。街が起きるまで予定でもたてよう。
しかし、慣れぬ一人旅に見知らぬ土地。
自然立てた計画もこんな風になる。

9:00〜12:00  お寺
12:00〜13:00 昼ごはん
13:00〜17:00 お買い物
17:00〜20:00 晩ごはん
20:00〜23:00 夜景

小3の夏休みの予定に並ぶ稚拙さ。
こんなことしてもしょうがない。
考えるよりもまず跳べだ。
どこに跳ぼう。
祇園かな。
なんて安直に考えちゃう。

祇園に着いたら、JRAのウインズを見つけてしまう。
しかも、今日は土曜日だ大集合。ファミコン戦士がみんな集うなら、競馬狂だって集います。
朝昼、まるごとウインズで過ごす。
行きずりの予想が当たるほど甘いわけがなく、財布はみるみる軽くなる。
気分直しに寺でも愛でるか。
と寺にいってはみるものの、寺の夜は案外早いことを思い知らされる。
せめて食物だけでも、京都っぽいものをと必死に探す。
よせばいいのに穴場を選んで大失敗。
そうして、カップルで賑わう鴨川のほとりに一人腰掛けてこうつぶやく。
一人旅なんて来るんじゃなかった。


これにて脳内一人旅おしまい。
最後まで読んだつわものはいるかな?
明日明後日は、これを前編後編にして記載します。