安達さんとブックマーケットとバイトと……

僕がこの街に引っ越してきて初めたバイトは、千本丸太町にあるブックマーケットというお店だった。
そこは中古コミック・CD・ゲームを扱う店で、楽そうだからその店で働く事にした。
確か初めてその店に行ったのは、大文字焼きの日だった。
そして働き出したのが、多分9月の頭からだったかな。


その店で知り合ったのが、安達さんだった。
初めて会ったのが、僕が大学1回生で安達さんは4回生。
もうかれこれ、6年以上前になるんですね。


この安達さんがまた愉快極まりない人で。
何やっても長続きしない僕が、その店で3年働いていたのも安達さんがいたのが大きい。
僕が店を辞めてからも、たまに店に行って安達さんと話をしていた。


話の内容は大抵、取るに足らない猥談だった。


だって安達さんはリスペクトに価するスケベ男子なんだから。
どれだけの時間、放課後の中学生みたいな猥談を繰り返したか。
成人指定じゃないけどちょっとエッチなマンガに、“パンツマンガ”というカテゴリを作ったのは、これぞ精神的中学スケベの極みだった。
見た目さわやかで、このブン曲がった価値観だもの。
さらに法律を勉強するインテリだっていうんだから。
反則だよ。安達さん。


その安達さんがこの度、店を辞めて実家に帰るらしい。
この間店に行った時、偶然本人に会ってその事実を知った。


しあわせな人生であって欲しい。
嫉妬心の強い僕が、心からそう願える相手が他に何人いるだろうか。


多分、安達さんはしあわせな人生を過ごすだろう。
だって、連絡取り合ってたわけじゃないのに、最後の最後で僕と安達さんが言葉を交わす機会を創ったやさしい人生の神様のことだから。
きっとうまいことやってくれるだろう。



出来る限り大げさに書いて、この別離を乗り切ろう。
そんな腹づもりです。