スピッツを聴きました

自分の精神状態を過信していた。


久しぶりにスピッツでも聴きながら
寝ようかと思ったのが間違いだった。


スピーカーから最初の一音が鳴った瞬間に、
僕の現在は音もなく崩れ去ってしまった。


意識下に埋もれてしまったはずの思い出が、
次から次にあふれ出してくる。
濁流のように渦を成す記憶の中で僕は何も出来ず、
ただ、ただ頭を下げる事しか出来なかった。


最後の曲が終わっても歌声は鳴り止まない。
CDは完全に止まっているのに天井から
歌声がこぼれ落ちてくる。


ああ、彼の声はまるで悪魔のようだ。


僕の声は洋楽の歌詞カードに付けられた
安っぽい対訳のように無機質に響いた。


まるで悪魔のような歌声は、ポップなメロディに
乗って甘く歌いかける。


豊かさは人を惑わせる
貧乏は人を狂わせる
豊かさは人を惑わせる
貧乏は人を狂わせる
豊かさは人を惑わせる
貧乏は人を狂わせる


頭の中でそのフレーズが延々と繰り返された。



結局はおざなりの夢オチだから
この話に大した意味はない。